12月4日の『船橋よみうり』新聞に、ちばMDエコネットが取り組んでいるユニバーサル就労のことが掲載されました。
1面に大きく取り上げられましたので、全文を紹介します。
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知的障害者への雇用機会推進に
ユニバーサル就労
~段階的スキルアップで本格雇用へ~
慣れた手つきで階段をモップ掛けする山田晶生さん(31)。手すりを拭きながらその横を通っていくのは山本江美子さん(30)だ。軽度の知的障害を抱える2人は、補助スタッフの助けをかりながら、6月から船橋の高齢者向け施設「高根台つどいの家」で清掃スタッフとして働いている。
モップがけは、横にモップをかける動作と、前に進む動きが組み合わさっており、障害者にとっては意外に困難な作業だ。最初は床をなぞるだけだった2人だが、今ではモップがけのほか、好奇心旺盛な山田さんは掃除機も担当し、山本さんは郵便受けの雑巾がけなど細かい作業もこなす。
こうした知的障害者や引きこもりの人など、働きたい気持ちがあるのに働きにくい状態にある人たちに就労の機会を与える「ユニバーサル就労」が広がり始めている。
同就労は、それぞれの事情に応じて必要な支援を受けながら、段階的に可能な作業を広げていき、多様な働き方を目指すもの。障害者や健常者の区別なく、精神的、身体的、社会的理由で働きにくい状態にある全ての人を対象としたもので、障害者雇用促進法による法定雇用とは一線を画している。市川市の高齢者向け施設「ライフ&シニアハウス市川」から始まったもので、全国でも2例目となる新しい取り組みだ。
受け入れ先は、業務を細分化することで就労の機会をつくり、対価は応分が支払われる。健常者が1時間で行う作業に対して、何時間かかっても何人かけてもよいが、対価は1時間分という仕組みだ。
高根台つどいの家の森村泰之ハウス長は、「トイレの座面が清掃されていなかったり、最初は業務がこなせるか不安だった。だが今では、問題なく任せられる」と話す。同施設では09年のオープンから介護や調理、事務作業などでも受け入れており、すでに知的障害者や引きこもりだった数人が個別就労につながった実績がでている。
受け入れにはお互いに何ができて、できないかという共通認識が必要だ。その一助となっているのが、船橋の障害者支援NPO「ちばMDエコネット」が作成した「サポートブック」だ。障害に個人差があることをふまえ、個人別に作業の指示の伝え方や、声かけで気付けること、本人独特の表現方法などが記されている。
事業者にとっては受け入れる準備が必要だが、業務コストがかさむことはなく、就労者にとっては働く機会とスキルを学ぶことができる。今月3日~9日は障害者週間。新たな取り組みが今、注目されている。
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