カテゴリー「ノーマライゼーション学校支援事業」の13件の記事

2010年6月20日 (日)

「ノーマライゼーション学校支援事業」第1回・2回研修報告

 日時:2010年6月20日(日)
 第1回[13:00~15:00] 第2回[15:15~17:15]
 場所:船橋市葛飾公民館 第2・3集会室

 今年度、「ノーマライゼーション学校支援事業」研修は特別研修・フォーラムを含め全部で8回を予定しています。6月20日に船橋市葛飾公民館にて第1・2回研修を行いました。家族・教職員・学童関係者・福祉関係者など延べ100人以上の方にご参加いただきました。

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<第1回>
 テーマ:発達障害のある子の理解と支援
 講師:田熊立さん(千葉県発達障害者支援センター 副センター長)

 第1回研修では昨年度に引き続き、千葉県発達障害者支援センターの田熊立さんに、「発達障害のある子の理解と支援」について講演をしていただきました。センターでは、ご本人・家族からの相談に対応されるとともに、コンサルテーション、機関訪問など直接、間接的な支援を行っているとのことでした。表題については、広汎性発達障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)を中心にお話下さいました。ひとりの子どもに様々な特性があり、子どもが何に困っているのかを知り具体的にどう支援していくのかを教えていただきました。
その中には感覚の特性にも配慮するといったお話もありました。たとえば「僕は○○は絶対食べない」と主張するお子さんに対して、まずはにおいを嗅ぐ、一口ずつといったことを試みるというのが一般的な発想ですが、“僕”のこだわりは“色”あるいは“温度”かもしれず、“僕”の困っていることを理解することがいかに重要かを考えさせられました。“僕”の本当の声を聞ける人でありたいと思いました。

アンケートより(抜粋)
〈第1回〉
 ・日々、子どもたちと直接接している立場として、悩む場面にもよくあいます。特に発達障害を含めハンディのあるお子さんの言動、行動にどう対応するのが一番その子達にとってよい方向を与えられるのか、いつも考えながら接しています。その自分の対応行動のベースを再確認し、勉強してゆきたいと心から思っています。今日は本当にもう一度勉強出来、よかったです。ありがとうございました。よく自分の中で消化して、子供達によりそった保育をしたいと思います。(学童関係者・Nさん)

 ・子供の発達障害の可能性を感じたので参加しました。話や資料の中で、まず、発達障害の子供を持つ家庭の多さに驚きました。現在、子供に対して、叱らず、工夫して良い所を伸ばす、ほめるを試行錯誤しながら実行していますが、具体的にどうすればよいのか戸惑うことも多かったので、実例や体験談などはとても参考になりました。どのように叱ったら効果がでるかではなく、どのように自己コントロ-ルさせるかを考えることが大切という言葉はしっかりと頭の中にインプットされました。周囲にも同じように悩めるお父さん、お母さんがいることが分かり、自分もやっていこうという気持ちになりました。(家族・Aさん)

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<第2回>
 テーマ:共に育ちあう子育て
 講師:鈴木由歌さん(学校法人愛隣学園 愛隣幼稚園園長)

 続いて第2回研修では千葉市にある愛隣幼稚園園長の鈴木由歌さんに「共に育ちあう子育て」をテーマにお話をしていただきました。愛隣幼稚園は、子どもの自由なあそびを園生活の中心にし、仲間づくり(子どもの年齢を超え、障害のある子ももちろん、大人も)やお母さんの子育て支援を理念に掲げていらっしゃいます。園のある一日の映像を見せていただきましたが、園庭を掘って川を造り水を流したり、部屋いっぱいにレールを敷いて列車を走らせたりして、みんな本当に生き生きして楽しそうで、主体的に活動しているのがよくわかりました。仲間づくりについてはこんなお話をして下さいました。R君は自閉傾向がありみんなと一緒が苦手な子でした。リレーのバトンの練習にあたってみんなはバトンを渡せないR君のためにル-ルを変えたり、偶然バトンを渡したタイミングに合わせて受け取る子が立つ位置を考えたりして、最終的には運動会ではうまくバトンをつなぐことができたそうです。子どもも大人もみんなどんなにうれしかったことでしょう。

アンケートより(抜粋)
〈第2回〉
 ・園の努力がすばらしいと思いました。障害児は困った子ではなくて困っている子という言葉は印象的で、ありのままのその子たち、違うことが当たり前という考え方は本当にそうだなと思いました。(学童関係者)

 ・障害のある子とともに育つ保育の実践がよく分かりました。感動的なお話をありがとうございました。(学童関係者・Yさん)

 ・幼い時からノーマライゼーションな時間を自然体ですごさせるのは障害のある子、ない子共に有意義と思います。「普通の社会の中で生きたい。たったそれだけのことなのですが、少しだけ、お願いできることを受け入れてくれたら、問題は起こらないのに。」常々そう思っていました。子どもは先入観が無い(少ない)ので、ノーマライゼーションの考え方を受け入れ易いと思うのですが、保護者は中々難しいのかと思う時があります。是非すばらしい保育を続けて下さい。又、ノーマライゼーションの方法を多くの教師や保護者、子供達に伝えてほしいと思います。 (家族・Nさん)



 田熊さん、鈴木さん共にこの紙面では書ききれない大切なことを多く語っていただきましたが、障害のある子がうまくいかない状況を作らないよう周囲が配慮していくことの必要性を改めて学んだ有意義な一日でした。

【八十陽子】

2010年1月31日 (日)

「ノーマライゼーション学校支援事業」第6回・第7回研修報告

 日時:2010年1月31日(日)
 第6回[13:30~15:25] 第7回[15:40~17:35]
 場所:千葉市ビジネス支援センター 会議室

 1月31日(日)に、千葉市ビジネス支援センター(きぼーる13階)を会場にして、第6回・第7回研修を続けて行いました。寒い中、また休日にもかかわらず保護者の方々や先生方、学童指導員の方、福祉に関わる方々など多くの方が参加してくださいました。

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 <第6回>
 テーマ:支援に活かす発達検査
 講師:西山博さん(千葉県立印旛特別支援学校教諭)

 第6回は「支援に活かす発達検査」というテーマで、印旛特別支援学校教諭の西山博さんに講師をお願いしました。「発達検査」という言い方が聞き慣れていますが、「心理検査」という呼び名が正確とのことです。心理検査はその子を理解するためにあること、「初めて会った子と仲良くなるのに何もないと難しい。検査という枠があると、そういう具体的なことを介して仲良くなれるんです」というお話に、「目からうろこ」という感じがしました。また、検査というとできないところを見つけ出すものという先入観があるのですが、そうではなくてその子自身の中での発達のバランスを見ることであり、得意なことも苦手なことも明らかにすることが目的であるということを学びました。演習や、2人1組になって行ったワークショップは楽しいひとときでした。「自分のいいところを言い合う」場面では、「自分のいいところ」ってなかなか浮かばないものだと思いました。こうした形で参加者も心理検査の一端を体験することができました。検査の結果を支援に活かすには、結果が出たあとの現場でのていねいな話し合いが必要です。また、支援者が勝手な思い込みをしている場合など、検査はその間違いに気づくきっかけにもなるとのことでした。検査から目標が見つかり、そこから支援の可能性を広げていくことができるというお話に、深く共感しました。

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 <第7回>
 テーマ:実践例に学ぶ~通常学級における特別支援とは?
 講師:佐藤慎二さん(植草学園短期大学教授)

 第7回は「実践例に学ぶ~通常学級における特別支援とは?」というテーマで、植草学園短期大学教授の佐藤慎二さんに講師をお願いしました。佐藤さんは、船橋市で長く言葉の相談室や通級指導教室で指導されてきた方で、通常学級の中で発達につまずきのある子を支援する適切な方法は、他のすべての子どもたちにわかりやすい支援でもあるということを、豊富な具体例をあげて話してくださいました。一度に二つの指示は通らない、必ず一度にひとつの指示にすることを、何度も強調されました。指示が聞けないということでいつも叱られているA君。しかし彼が指示を聞けないのはなぜなのか、考えてみたことがあるだろうか?「聞いていない」のではなく「聞き取りきれない」困難があるのではないか?と投げかけられました。読み書き困難を抱えた子の手記が紹介されていました。「あり地獄のような読み書き訓練の日々。何万回書けば書けるようになるのか。・・・これだけやってもできない自分はまだまだ努力が足りないのだろうと思った。・・・でももうこれ以上何をどうしたらいいのかわからない・・・」子どもたちの辛さを理解していこう、と佐藤さんは何度も繰り返しました。授業をどのようにわかりやすく、誰もが参加しやすく作っていくか、そこが勝負!と言われました。早いテンポで次々に繰り出される、楽しくわかりやすい授業の「ネタ」は、まるで手品のようでした。こうした工夫によって子どもたちが活き活きと学校生活を送るようになったら、先生方も親たちもとても嬉しく幸せになれます。そんな学校を創って行こうという、力強いメッセージをいただいた研修でした。

2009年12月19日 (土)

学校支援事業第6、7回研修のご案内

ちばMDエコネットでは、「ノーマライゼーション学校支援事業」を行っています。
今年度、7回の研修を実施しますが、第6回、第7回研修を平成22年1月31日(日)に行いますので、そのご案内をさせていただきます

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ノーマライゼーション学校支援事業
第6回・第7回研修のご案内

日時:2010年1月31日(日)
第6回[13:30~15:25]/第7回[15:40~17:35]

場所:千葉市ビジネス支援センター 会議室(きぼーる13階)
交通アクセスはこちら↓
JR千葉駅より徒歩15分/京成千葉中央駅より徒歩5分

■第6回「支援に活かす発達検査」(※各種検査の総称は「心理検査」)
講師:西山博さん(千葉県立印旛特別支援学校教諭)

具体的な支援の手立てを組み立てていくためには、発達検査の結果をどのように活かし、何をポイントに考えたら良いのでしょうか。一人一人に合わせた支援に結びつける方法を、事例を通して一緒に考えてみましょう。

■第7回「実践例に学ぶ~通常学級における特別支援とは?」
講師:佐藤慎二さん(植草学園短期大学教授)

通常学級に学ぶ障害のある子の支援の方法について、「戸惑いを感じている」という現場からの声を受け、今回の研修を企画しました。通級指導教室でのご経験が豊富な講師から、通常学級における特別支援のあり方についてお話をうかがいます。

定員:各50名
参加費:各1000円(資料代)
 ※第6回、第7回研修の両方ご参加の場合は2,000円です。
内容:講義と質疑応答
主催:NPO法人ちばMDエコネット・千葉県
   (本事業は、千葉県とNPOとの協働事業です)

申し込み【締め切り:1月26日(火)】
参加ご希望の方は、第6回研修、第7回研修の両方あるいは一つを選び、氏名、住所、電話番号、メールアドレスを明記し、下記申し込み先へFAX、メール(件名に「学校支援事業研修申し込み」と明記して下さい)、電話のいずれかでご連絡ください。定員を超えてしまい、お断りする場合に限り、お申し込みいただいてから翌日までにこちらからご連絡いたします。
●コミュニティカフェ〈ひなたぼっこ〉
電話・FAX:047-426-8825  Eメール:sun@mdeconet.jp

2009年11月21日 (土)

学校支援事業、フォーラムご報告

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11月21日(土)、千葉大学西千葉キャンパスの教室で、学校支援事業の中間報告をかねたフォーラムを開催しました

連休初日とあってか、参加者は思ったより少なかったのが残念でした。参加された方々は、中間報告も佐藤暁さんの講演もとても熱心に聴いてくださいました。

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中間報告では、ちばMDエコネットが千葉県とNPOとの協働事業を始めるまでの歩みをお話しました。
また、ノーマライゼーション学校支援事業は県との協働のおかげで、学校に出向くケースワークが円滑に進んでいることを話し、取り組んできた事例を報告しました。


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佐藤さんの講演は、50枚余の写真データを見ながらの講義でした
写真は小学校通常学級の授業風景から始まりました。
グループ学習をしている子どもたち、その中で国語の課題に取り組めずに困っているMさんのことを、同じグループの子どもたちが気にしているようす、間に入った教師がさりげないひとことでMさんと子どもたちをつないでいるようすが、映し出されました。

「個別支援」というより、「周りの子どもたちとどうつなぐか」ということです。佐藤さんは「個別支援」だけでは困っている子を救えない、「授業づくり」との両輪で考えて行きましょうと話しました。
「個別支援の先生がその子にだけ関わることで、他の子との関係が切れてしまうという、大変悲しいことが起こってくる」というお話は、私たちもこれまでに何度も聞いていることでした。Mさんだけの支援ではなく、Mさんと周りの子どもたちをつなぐために支援の先生が入ることが大切だとわかりました
「授業づくり」は、「誰にでもわかりやすい授業」と、子ども同士の「学びあいの学習」の視点が大切であると言われました。

次に映し出された写真は、発表のとき言葉が途中で途切れてしまったA君に、先生が「つづき、助けてくれる人」と声をかける場面でした。
Bさんがすぐに手をあげて、A君がとぎれたところの続きを言ってくれたので、A君がその先を発言することができました。A君はBさんの助けで気づくことがあり、一方Bさんも、A君を助けることで新たに気づくことがありました。
このように、自分自身の課題をつかむには仲間の力が必要であり、お互いに学びあうことを授業の中で練習するとよいというお話は、考えてみれば当たり前とも思われることです。
また、「学びあい」は「聴きあい」でありむしろ受動性が基礎になること、相手の話を聴くことが成長の基礎になるというお話に、はっとさせられました

「学びあいの授業やわかりやすい授業を実践しましょう。教職員がお互いの授業を見て学びあいましょう。そうすれば授業は確実に変わり、子どもは幸せになります」と佐藤さんは言われました。
「子どもたちの幸せを」と何度も言われた言葉が、心に響いてきました。

こうした授業づくりをしていくうちに、いつの日か「特別支援」から「特別」という言葉もとれていく時が来るでしょう、と佐藤さんは言われました。それは、仲間とのつながりと必要な支援がどの子にも当たり前にある学校であり、子どもたちが幸せになる学校です。

佐藤さんの静かなお話の中から、そのイメージが力強く浮かび上がってくるように思われました。参加した一人のお母さんが「今まで何度も研修に参加しましたが、一番わかりやすいお話でした。たくさんの先生方に聞いていただきたかった」と話していました。


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アンケートより(抜粋)

・「ノーマライゼーション学校支援事業」さんの活動状況を初めて知ることができました。今までは勤め先の学校でのチラシでしか名前を見たことがなかった存在が、すごく身近になり、参加して本当に良かったと思いました。佐藤暁さんの講演では、「気づき」が本当に多く、私自身の視点(新しいネタ)をたくさん質問する時間を設けてもらえて、自身の現状も重ね合わせることができ、少しずつ、実践していくことが出来そうです。質問させていただきありがとうございました。本を買わせていただきます。

・県の信頼性とNPOの当事者性が活かされている話を伺い、行政との協働の意義が分かりました。特に学校現場に入り込んでいくときに、県の信頼性が活きてくるという話はなるほどと思いました。今後これがなくなっても、NPOの当事者性と信頼性がしっかり認められることを願っています。学校現場側の問題ですが…。これからもがんばってください。佐藤先生の話を聞きたいとずっと思っていたので、今日参加できて本当に嬉しかったです。想像していた以上に、感銘を受けました。佐藤先生の考え方が広まっていくことを願ってやみません。これまで多くの専門家の話を聞いてきた中でも、違いを実感しました。もっと多くの方に聞いてほしい話でした。

・佐藤先生の講演は目から鱗が落ちるような話題でした。とかく個へ目が行きがちであったので、「仲間」という言葉は新鮮でした。

・初めて参加させていただきました。教師をしています。今までも困っている子をどう指導していくかという講演や書物を教育活動に活かしていきたいと思っていても、とても無理な内容ばかりでした。でも、今まで自分がやっていることでいいのだと、佐藤先生の話を聞いて自信を持てました。まわりと自分のやっていることが違ったり、強い指導をみると、私はダメだなと思って、思った通りの指導ができなくて、私も子どもにとってもキツイことがよくありました。今日は本当に良い話を聞かせていただきました。ありがとうございました。私たち教師が声をあげてもなかなかつぶされてしまい、子どもを取り巻く環境はよくなりません。私たち教師の意識を変えてくれるこのようなフォーラムを行ってくださったり、保護者の声を管理職に聞かせたりしてくださると、私たちは後方支援ができます。よろしくお願いします。

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【山田晴子】

2009年10月21日 (水)

「発達障害の理解と支援」松戸出張研修報告

  日時:2009年10月21日(水) 午前9時30分~12時
  場所:松戸ふれあい22

 10月21日、松戸ふれあい22で、NPO法人はなまると、NPO法人ねばぁらんど主催の研修会が行われました。はなまるとねばぁらんどは、松戸市から委託を受けて放課後学童クラブを運営しています。学童クラブでは、発達障害のある子どもたちへの配慮や支援をどのようにしたらいいか、指導員の方々が学びたいとのことで、研修のコーディネートをちばMDエコネットが依頼されました。発達障害者支援センター(CAS)の佐々木さんの講演と、ちばMDエコネットの山田の事例報告という形でプログラムをつくり、出張研修を行いました。
 当日は、学童クラブ指導員の方々や地域の民生委員など、50人余りが参加しました。発達障害についての基礎的な知識をCASの佐々木さんがわかりやすく説明し、参加者は熱心に講義を聴いていました。「こんな時どぉ~するの?」というテーマであらかじめ現場からの質問が寄せられていました。乱暴な行為など、やめさせたい行動についてどう対処したらいいか、障害について保護者が認めないときにどうしたらいいか、子どもが落ち込んでいるときのフォローの仕方など、子どもの行動だけでなく保護者や周りの子どもたちへの関わりについて、質問がありました。できるだけ質問に答える形で事例報告を進めました。
 後半では数人のグループに分かれて振り返りの時間をとり、研修の感想や具体的な課題を出し合いました。各グループから一言ずつまとめを発表してもらったのですが、それぞれ話したいことがあって時間が足りないくらいでした。帰りがけには個別のご相談で声をかけてくれた方が複数あり、あらためてお話を聞くことになりました。
 学童クラブは、障害のある子とない子が共に育つ貴重な場になっています。放課後、子どもたちが解放感を持って過ごす時間であるだけに、トラブルも多くなりがちです。主催者としては、これだけで終わることなく、継続して研修を行っていくとのことでした。これからに期待できる研修第1回目でした。

2009年10月18日 (日)

「ノーマライゼーション学校支援事業」第4回・第5回研修報告

  日 時:2009年10月18日(日)
  第4回[13:00~15:00]第5回[15:15~17:15]
  場 所:千葉大学(亥鼻キャンパス)看護・医薬系総合教育研究棟2階
       講義・実習室

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  <第4回>
  テーマ:「社会的スキルを身につけるために
              ~SST(ソーシャルスキルトレーニング)の実践を通して」
  講 師:大山恭子さん(船橋市立船橋小学校通級指導教室担当教諭)

 第4回は、「社会的スキルを身につけるために~SST(ソーシャルスキルトレーニング)の実践を通して」をテーマに、船橋市立船橋小学校通級指導教室の大山恭子先生にお話いただきました。
 発達障害のある子どもたちは社会生活や対人関係で困ることが多いです。家族や関わる人にとっても、困っている子をどう支援したらよいかは大きな課題です。大山先生は、日々小さな集団の指導を行っている中から、具体的な方法をたくさん示してくださいました。広汎性発達障害の場合、失敗体験から学ぶことがとりわけ難しいので、成功体験になるような工夫が大切というお話は、とても参考になりました。
 「誰もがうまくやりたいと思っている。だからできない子を責める前に、うまくやれないのはなぜか?を考えよう」「1回叱ったら3回誉めることを心がけよう」というアドバイスは、家族にとっても先生方にとっても、よい振り返りになったのではないでしょうか。
 そして「どんなに良い手立てを講じても、子どもに成果が現れない場合は見直そう」という提案が心に残りました。場合によっては「勇気を持って、見直す」ことも必要なのだと思いました。

  アンケートより(抜粋)
  <第4回研修>
・通級学級での取り組みにたくさんの工夫が凝らしてあり、子どもの特性、個性に合わせた指導が大切であるということがよく分かりました。通常学級への指導も具体的に示していただけることが分かり、障害児(アスペルガー)の親として、心強く思います。家庭での指示が通らない時の工夫も学べました。
・「視覚」に訴えると、指導が入ること。約束は高すぎず、必ず守らせきること。給食前の手順表など、すぐにでも使わせていただきたくなるものがたくさんありました。良いところを認めるということは今まで何度も聞いてきましたが、大山先生からのそのお言葉が今まで聞いてきた中で一番説得力がありました。明日からまた頑張ります。
・SSTについて認識(やり方)を確認できました。がんばり表等、共通性があり、今自分でやっていることに自信がついた。
・子どもの困り感を見極める大人のまなざし、成長させていくための工夫、知恵が大切なこと、そのためには、ゆずらない大人としての頑張りが必要なこと。学校(特別支援の補助教員をしています)でも、家庭でも、活かせる貴重なお話でした。

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 <第5回>
  テーマ:「普通高校に入学して~高校現場での支援のあり方」
  講 師:五十嵐光喜さん(千葉県立東金高等学校定時制教諭)

 第5回研修は「普通高校に入学して~高校現場での支援のあり方」をテーマに、千葉県立東金高校定時制の五十嵐先生から、お話を聞きました。
 定時制の課程について詳しく説明を受けたあと、担任している障害のある生徒の学校生活について、写真等も紹介しながら話していただきました。続いて岬高校の大平先生、船橋法典高校の吉永先生から、全日制における生徒への支援について話していただきました。高校で多様な生徒たちが学んでいる状況がわかりました。
 また、千葉県では、障害のある生徒の高校受験に際して必要な配慮を申請できる「特別配慮申請」と、欠席が多いことや障害のあることについて申告できる「自己申告書」という2つの制度があります。
 第5回研修の最後に、県教育庁指導課の渡邊さんから、「特別配慮申請」と「自己申告書」について説明していただきました。資料を見ながらでわかりやすく、生徒の受験に取り組む先生方にも参考になったことと思います。

  アンケートより(抜粋)
  <第5回研修>
・抱えている問題、現実の厳しさを実感いたしました。小学校で手厚く指導しても、中学、高校と進むにつれて、特別支援を必要とする彼らの行き場所がないように感じています。個に応じた、就職するまでのある程度の目安が立てられるような、またもっと選択肢が広がるようになれば良いと思います。
・障害のある生徒に対し高校で努力して下さっていることで、進路の幅が広がり、送り出す側としてはありがたく思います。中と高の連携の必要も多くしていかなければならないと思います。
・重度の知的障害がある生徒でも高校教育を受けられることを知り、驚きました。大学でも特別支援を考えていかなければならないと痛感しました。

2009年8月22日 (土)

「ノーマライゼーション学校支援事業」第2回・第3回研修報告

 日 時:2009年8月22日(土)
 第2回[13:00~15:00] 第3回[15:15~17:15]
 場 所:千葉大学 総合校舎A号館 A201教室

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   <第2回>
  テーマ:「自閉症スペクトラムの理解と支援」
  講 師:高畑 和子さん(言語聴覚士)

 第2回は「自閉症スペクトラムの理解と支援」をテーマに、高畑和子先生にお話いただきました。
 「障害に応じた支援とは、一人一人違っている子どもにオーダーメイドで支援すること」であり、「障害の診断、定義よりも、目の前の子どもが何に困っているかを大切にしたい」というお話が心に残りました。
 自閉症スペクトラムの子どもたちの場合、不安感が強いことが多いので、個々の好きなこと、得意なこと、苦手なことをあらかじめ把握し支援に活かすとよいということ。そして、最初に体験することについては失敗の記憶にならないように、苦手なことは避けて安心感を持てるようにするとよいというお話も、とても参考になりました。

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  <第3回>
  テーマ:「障害のある子の心豊かな成長を育むために
             ~県総合教育センターの活動より」
  講 師:松本 巌さん(千葉県総合教育センター特別支援教育部
                                研究指導主事)

 第3回は「障害のある子の心豊かな成長を育むために~県総合教育センターの活動より」をテーマに、センターの松本巖さんにお話いただきました。
 個別相談だけでなく、学校等へ出向く出張相談、子どもたちを対象としたグループ相談もあるそうです。センターの活動がよくわかり、参加した保護者の一人は「今度、相談に行こうと思います」と話していました。
 周囲が困ったと捉えるような行動を直したいときでも、ただ禁止しようとするのでなく、いくつか選択肢を用意して本人が選べるようにすることが大切というお話を聞き、これからの相談支援に活かしたいと思いました。
 また、子どもと向き合って緊張関係にあるとき、もしお互いに立った姿勢だったらこちらが先に座ってみる、それだけでも力が抜けてよい関係を取り戻す糸口になるというお話に、現場で役立つ「知恵」を教えていただきました。

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  アンケートより(抜粋)
・ケースや支援側など具体的で非常にわかりやすかった。前に特別支援学校で勤務していた経験から、生徒一人一人の顔が浮かんできました。現在高等学校に勤務しているが、やはり不適切な行動には原因があるので、それを見極めることの大切さは同じであると感じた。
・様々な立場の方々がいらしていたので、多角度からの話、考えが聞けました。このように幅広い立場の方が集まって研修をすることが一番効果的だと思うので、今後増やしてほしいと考えます。

2009年7月 4日 (土)

「ノーマライゼーション学校支援事業」第1回研修の報告

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 「ノーマライゼーション学校支援事業」は、発達につまずきのある子や障害のある子の学校生活について個別にご相談を受けることと、どなたでも参加していただける研修を行うことという両輪で進めています。

 今年度の第1回研修を7月4日に行いました。「発達障害の理解と支援」をテーマに、CAS(千葉県発達障害者支援センター)の田熊立さんにお話していただきました。嬉しいことに、たくさんのお申し込みをいただき、定員30名のところを57名まで受け付けました。それでも会場の関係でお断りした方があり、本当に申し訳ありませんでした。

 田熊さんは、発達障害のあるお子さんや青年の方々との出会いを、生き生きと話してくださいました。「周りの大人のコミュニケーション不全で本人が不利益になることがないように」という姿勢で相談を行っていること、何をしたら良いのか具体的な行動を伝えること、どうなったら終わりなのか具体的に示すこと等が大切と、事例をもとに何度も強調されました。私たち大人は、すでに子どもがわかっているものとして、曖昧な言い方で済ませてしまうことがどれだけ多いかと気づかされました。田熊さんは「付き合うのに大変さはあるけれど、理解の糸口がみつかると、かえってわかりやすい“めりはり”のある人たちですよ」、そして「こちらが“めりはり”をつけて接することで、子ども自身が困らないようにしていきましょう」と話してくださいました。
 「子どもを変えようとする前に、まず私たち大人がどう対応を変えることができるか」が問われているのではないでしょうか。工夫を重ねて、私たち自身が一歩ずつでも変わっていきたいと思いました。会場からは、指導上困っていること等について率直な質問が出ました。アンケートから「とても具体的でわかりやすいお話だった。また聞きたい」という感想をたくさんいただきました。

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次回は8月22日に第2回、第3回研修を行います。
ホームページやチラシでご案内いたしますので、ぜひご参加ください。

2008年11月 1日 (土)

「障害のある子の学校生活支援を考えるフォーラム」終了!

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ちばMDエコネットでは平成19年度から千葉県と協働で「ノーマライゼーション学校支援事業」を行っています。障害のある子や発達につまずきのある子の学校生活を支援する事業です。

その中間報告もかねて11月1日に「障害のある子の学校生活支援を考えるフォーラム」を開催しました。
このフォーラムは、千葉県の障害福祉課の「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」に係る施策提案型事業に応募して採択され、実施することができました。定員100名のところ、97名の参加。ご参加いただいた皆さま、どうもありがとうございました!

障害のある子や発達につまずきのある子が学校生活で困ったとき、なかなか保護者と学校側との意思疎通が上手くいかずに、問題が解決しないことがあります。そんなご相談を受けて、ちばMDエコネットの学校サポーターが間に入って一緒に課題解決を図っていきます。相談は、以前は保護者からが多かったですが、先生からのご相談も増えてきています。継続してご相談をしている方も多いです。これらの相談はデータベースに蓄積しているので、そのデータを整理したところ、昨年の4月から今年の8月までで延べ686件のご相談がありました。

フォーラムでは、最初に「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」の説明をし、その後に「ノーマライゼーション学校支援事業」の中間報告を行いました。

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そして、その後、安住ゆう子さんのご講演。安住さんは、NPOフトゥーロ LD発達障害センターかながわの所長をされています。昨年の発達協会の夏季セミナーに私(山本佳美)が参加して、安住さんのお話を聞き、ぜひ私たちのフォーラムの講師としてご講演いただきたいと思っていました。それが今回お願いして実現したわけです。

講演では、通常学級に在籍する発達障害のある子の支援について、具体的な実践例をお話しいただきました。障害のある子に対するほめ方、しかり方、学習の際の工夫などなど。障害のある子は、一生懸命やっていても、上手く出来ないことが多くて怒られてしまい、「どうせやっても仕方ない。」と思ってしまったり、自信をなくしている子が多いです。適切な支援をし、やる気が出るようになって、少しずつでも自分の力でやることの達成感を味わっていけることが本当に大切。安住さんのお話には、子どもをよく見つめて、家庭と学校で協力してどういった支援をしていけばいいのか、そのヒントがたくさんありました。

アンケートには、今後私たちのところに相談に来たいということが書かれていたものもありました。障害のある子や発達につまずきのある子が、活き活きと学校生活をおくることができるよう、これからも頑張って行きたいと思います。

2008年8月24日 (日)

ノーマライゼーション学校支援事業第2回研修報告

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8月24日(日)に、学校支援事業の第2回研修を行いました。今回は、研修Aと研修Bという形で午後に2コマ設定し、二人の講師をお迎えしました。

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研修Aの講師は、船橋市立船橋小学校発達障害通級指導教室担当教諭の大山恭子さん。「LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、アスペルガー障害などの理解と学習支援」というテーマで、まずは発達障害に関する基本的な知識をお話していただき、その後は具体的な実践事例を話していただきました。
教室で1時間席に座っていられない子に対して、席を離れるときには必ず先生の許可を得るようにさせて、自分勝手に動くことをなくしていった例。注目してもらうのが好きな子には、悪いことで注目されないように教師が気をつける…など。
そして、小学校の役割として「保護者の子ども理解を促すこと」と「子どもの自己理解を促すこと」が重要とのこと。学校側がその子の学校生活の様子(客観的に見た事実)を伝え、どんなことに注意が必要なのかを親子が一緒に理解していく。周囲もそれを受け止めて、クラスの仲間が一緒に成長していく。中学校への引継ぎをきちんとして、中学校生活を安定して送ることが出来るようにする…。そのように、常に次につながる支援をしていくことがとても大切なのだと思います。

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研修Bの講師は、県教育庁特別支援教育課の鈴木郁夫さん。「千葉県の特別支援教育の現状と課題」というテーマでした。現在は、平成19年に策定された「千葉県特別支援教育推進計画」に沿って、様々な事業が進められているところです。
私たちが行っている学校支援事業も、新たなパートナーシップの形成を目指した取り組みとして「NPOと県との協働による相談事業」として計画の中に記載されています。そしてその計画には、通常学級の先生が個別指導計画を作って欲しいという希望が込められているとのこと。障害のある子が今在籍しているところでよりよい学校生活が送れるようにすることが私たちの事業の目的です。その目的を県と共有しているところですが、やはりまだまだ課題が多いのが現状。県内のいわゆる都市部と農村部における違いも大きいようです。
今後は、県行政と市民が必要に応じて地域における教育・福祉の様々な機関と連携しながら、障害のある子のより良い学校生活の支援体制を協力して創り上げる時代なのだと感じました。

【事務局長:よしみ】