カテゴリー「ノーマライゼーション相談事業」の5件の記事

2007年1月28日 (日)

相談事業第5回研修ご報告

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1月28日に相談事業第5回研修「障害のある子の学校生活支援パートⅡ」を行いました。定員30名を超える参加者で、ニーズの高さがうかがえました。

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講師の高畑さんは柏養護学校の通学区域である柏市と流山市を中心に、主に障害のある子の相談活動をしていらっしゃいます。相談の対象は乳幼児期から学校卒業後までで、地域の様々な方から相談があり、普通学級に通う中での課題等の相談も受けているそうです。

途中、高畑さんが「障害について疑似体験をしたことがありますか?」と参加者に聞きました。無いという人がほとんど。「じゃあ、利き手ではない方の手で“都道府県”と5回書いて下さい。」ということで、皆が挑戦。でも、なかなか思うように書けません。そんな中で「もう時間ですよ。早くして下さい。隣の○○さんは終わっていますよ。」と高畑さんがせかします。私は上手くかけないもどかしさと焦りでとても不安な気持ちになりました。
高畑さんは「何かをしたいと思っても、それが思い通りにできない時の辛さって、非常にストレスになりますよね。障害のある子の支援では、その子がどういった気持ちでいるのかを常に考えることが大切です。」とおっしゃっていました。個別の教育支援計画を立てる時も、障害のある子自身が何をしたいのかをじっくり見極めなければならない、と。計画を立てる際、本人・保護者と学校だけでは必要な支援を行えない場合には、関係機関とも連携をとってネットワーク会議を開催しているそうです。

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後半の意見交換では、普通学級での支援、学年がかわる時の問題、学習面の課題などが出ました。学年の変わり目に安定した状態を引き継ぐためには、コミュニケーションのとり方やプリント等、どういう支援をしたのかという環境整備の部分、“具体的な支援条件”を伝えるとのこと。必要に応じてその子の状態をビデオに撮って見てもらうこともあるそうです。

高畑さんのお話をうかがい、普通学級でも養護学校でも、障害のある子が望む学校生活を送るサポートは工夫次第で出来ることがわかりました。本人・保護者と学校が密に連絡を取り合い、支援体制作りを進めることが急務だと思います。

【事務局長:よしみ】

2006年11月11日 (土)

相談事業第4回研修ご報告

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11月11日(土)に、ノーマライゼーション相談事業第4回研修「障害のある子の普通高校での支援~高校の現場から」を行いました。

ちばMDエコネットは、障害のある子もない子も共に育ち、学ぶ教育を求めて活動をしてきました。千葉県では、1996年頃から小、中学校を普通学校で学んだ障害のある子たちが、普通高校に進学する道が拓けて来ました。そして、現在は千葉県の公立高校約20校で様々な障害のある子が学んでいます。

今回の研修では、最初に千葉県における障害児の高校進学の現状をちばMDエコネット代表の山田晴子がご説明し、その後、吉永馨先生のお話。吉永先生は、千葉県立東葛飾高等学校定時制に昨年入学した知的障害のある生徒(M君)の担任を受け持っています。M君の入学までの経緯から始まり、学校の受け入れ体制と支援体制のお話、授業や評価、クラスメイトとの関わりなどを具体的に細かくお話して下さいました。
1年目から2年目になるところでは、サポート体制の再編も行われたとのこと。M君がよりよい高校生活を送れるよう、様々な工夫がなされているのです。後半の意見交換の際には、「自分の子どもはまだ幼稚園に行っているが、この先の見通しが出来た。」という意見や、特殊学級の担任をなさっている方から保護者と担任との連携を密にするための工夫について話が出ました。また、高校に進学するときに、それまでの中学校での様子がわかるようなたてのつながりが必要だろうという話には参加者の皆さんが大きくうなずいていました。

今回の研修で再確認できたことは、障害のあるなしに関わらず、小さい頃から家庭と学校の連絡を密にして、その子がみんなと一緒に学びやすいように生活面や学習面での成長を見守り、適切な対応をするということでした。子どもの気持ちを大切にして、家庭と学校、それに関わる第3者がサポートしていけたらいいな、と思います。

【事務局長:よしみ】

2006年9月 3日 (日)

相談事業第3回研修ご報告

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9月3日(日)、相談事業第3回研修「障害のある子の学校生活支援~特別支援教育コーディネーターの活動から~」を行いました。
講師は千葉県立八日市場養護学校教諭の西山博さん。西山さんは特別支援教育コーディネーターとしての豊富な経験をお持ちです。現在は、八日市場養護学校で、養護学校の生徒や地域の普通学級に通う障害のある子へのきめ細やかな支援をしていらっしゃいます。

最初に「特別支援教育コーディネーターの役割は、養護学校と小中学校では異なるのだ」という話から始まりました。小中学校では校内体制の構築、養護学校では地域支援を行う、ということです。そして、八日市場養護学校での「地域ぐるみで障害のある子を支えるための取り組み」の紹介をして下さいました。学校の近隣住民の方がたくさんボランティアとして学校の行事に関われるようにし、子どもたちの地域生活を支援する人のつながりを楽しく、自然につくりだしているのです。
そして、八日市場養護学校の先生方は、自分の学校の生徒だけでなく、その地域の障害のある子の相談支援活動を積極的に行っているとのこと。「困っているのは誰?」という問いを出発点として、地域の幼稚園、保育園や普通学級に出向いて、障害のある子は「困った子」ではなく、「困っている子」なのだというところから、ニーズや思いを丁寧に汲み取り、支援していく。障害のある子がどの学校に通っていようとも、その地域で活き活きと暮らせるようにしていくこと…それがこれからの特別支援教育に求められるものなのだろうと思います。

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後半の意見交換では、障害のあるお子さんの保護者から学校生活での悩みが打ち明けられ、それに対するアドバイスを皆で考える場面もありました。アンケート結果からは、今回の研修がみなさまに満足いただけたことがわかりました。ご参加ありがとうございました!

研修会終了後には、コミュニティカフェ〈ひなたぼっこ〉で交流会をしました。講師の西山さんを囲み、研修では話が出来なかったことやそれぞれの情報交換をするなど、話が盛り上がりました。

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2006年7月15日 (土)

相談事業第2回研修ご報告

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7月15日(土)、ノーマライゼーション相談事業第2回研修「障害児教育ってどんなもの?~障害のある子の教育を見つめ直す~」を行いました。講師は千葉県立東金養護学校教頭の小林克彦さん。小林さんは昨年度まで千葉県教育委員会特別支援教育課にいらして、ちばMDエコネットが県と行っていた協働事業の担当者としてお世話になっておりました。そのつながりもあり、今回の講師をお願いしました。

小林さんはこの研修のために3パターンほど話を考えて下さったそうで、最終的にはご自身の教員としての歩みを振り返る「自分史」のような形でお話をしてくださいました。最初の赴任先の盲学校に始まり、特殊学級、久里浜にある養護学校、養護学校(千葉県)、教育委員会特別支援教育課、そして現在。教員時代のエピソードから、障害がある子一人一人と向き合い、その子が何を必要としているのかをじっくり見て、その子に合った方法で能力を伸ばしていくことに真剣に取り組んでいらっしゃったことが良くわかりました。参加者は小林さんのお話に聞き入り、あっという間に1時間が過ぎてしまいました。

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その後、休憩をはさみ、全体で意見交換を行いました。参加者は障害のある人、障害のある子の家族、障害のない子の家族、教員、行政職員、市議会議員、大学講師、教員を目指す学生など、さまざまな立場の方々。活発に意見が取り交わされる中、世界の流れとしてはインクルーシブな教育が進められているということも話題にのぼりました。小林さんは「最初は障害のある子もない子も一緒で、そこからそれぞれに必要な教育を考える、ということが欧米の考え方のようです。これからどういった方向がいいのかは、きちんと検討していく必要があるでしょう。」とおっしゃっていました。

そして、最後に小林さんから「これからは教員だけでどうにかなる時代ではない。子どもの思いと親の思いを大切にしながら、地域の人たちといかにネットワークをつくって行くかが大切になってくる。もちろん、全国で障害児教育に取り組んでいる教師仲間も必要。そして、最新の知見や技術と共に、障害児教育に取り組んで行きたいと思う。」という言葉がありました。参加者それぞれの心に響く言葉であったと思います。

これからの時代、小林さんのおっしゃるように、教員だけでなく、地域の様々な人が関わることで障害児教育がよりよいものになっていくのだろうと思います。

2006年6月 3日 (土)

相談事業第1回研修ご報告

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ちばMDエコネットは、今年、特別支援教育に関する研修を実施しています。

 6月3日に第1回目の研修「千葉県の特別支援教育~特別支援教育ってなに?~」を行いました。講師に元中学校教員の渡邉亮一さんをお迎えし、最初に、特別支援教育に関わる学校教育法施行規則の一部等改正と、国会審議中の学校教育法の一部改正についてご説明いただきました。次に、「千葉県の特別支援教育の在り方について(提言)」最終報告のポイントをお話していただきました。その後、休憩を挟み、参加者との意見交換を行いました。参加者からは、特別支援教育の対象はどのように決められるのか、また、保護者の意向の反映についてなど、具体的な質問がたくさん出ました。渡邉さんは誠実に一つ一つの質問に答えて下さり、参加者同士の情報交換、意見交換も活発でした。聞きたいことが盛りだくさんで、もっと時間が欲しい、という感じでした。

平成19年度には本格的に特別支援教育の取り組みが始まります。現場はまだ混沌としている部分があるようですが、障害のある子が生き生きした学校生活を送ることができる教育が求められていると思います(…教育はそもそも全ての子どもの問題ですね)。研修では、さまざまな立場の方に講師になっていただき、これからの障害児教育についてみなさんと考えて行きたいと思います。


【事務局長:よしみ】